社長ブログ

社長フィロソフィー日記

影響力

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最近、他人への影響力を持つってどういうことだろうと考えることがある。勿論、影響力には良いものと悪いものがあるのだけど、人はどういった時に「動かされる」のだろうか。
僕が尊敬している稲盛さんは抜群に「影響力」を持つ人に違いない。多分ヒントになると思うけど、彼の創業時の話しが面白い。創業して間もなく、余りの激務に堪え兼ねた社員が一致団結して、まだ若かりし経営者だった稲盛さんに詰め寄ったらしい。こんなに働いているのだから、今後の身分、給料を保証して欲しいと。
稲盛さんは創業時、会社の目的として「稲盛和夫(=自分)の技術を世に問うこと」としていた。自分の力を試したくて努めていた会社を辞めて創業したのに、そしてまだ自分自身食うや食わずで自分の親兄弟の面倒を見るにも至っていない。それを自分の会社の社員だからといって、血の繋がりも縁もない人たちの生活をどうして自分が見なければならないのか、と思ったらしい。そして経営者になるということは、「自分のために働いてくれ」というのでは駄目で、まさしく見ず知らずの他人の人生を抱え、その人たちの物心両面の充実に責任を取ることだと観念したという。
そして稲盛さんは本当に、自分のことは放っておいて社員の幸福のために一生懸命働いたからこそ、社員たちも意気に感じて負けずと働いたのだと思う。そしてそれが今日の成功に繋がったのは事実が証明することでもある。日本航空の再生事業も、稲盛さんが無給で一生懸命奉仕の精神で頑張ったからこそ、能力があったのに魂が籠っていなかった同社の社員もやっと死ぬ気で頑張る気になったのだと思う。これが稲盛さんの「影響力」で、それは多分に「私心がない、謙虚で驕らない一生懸命な姿」に心が打たれて、この人と一緒に頑張って行こうと周りの人は思ったに違いない。私心はすぐに見透かされる。だから本音で語って信じてもらうしかない。
影響力を及ぼすということは、自分のために他人を動かそうという意図や戦略、権力意識では決して実現することが出来ない。「リーダーになる」と同じ話しだと思うけど、「無私」でないと他人はついて来ないものだということだ。
影響力=権力、そしてそれには無私の心が必要だとは、なんと難しいことだろう。だから常に反省し、謙虚にして驕らず、誰にも負けない努力をする、そしてそれは社員のため、周りの人たちのため、世の中のためじゃないといけないのだ。

善意の経営

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最近流行っている経営理論、経営手法に、「なんとかの見える化」(営業プロセスの見える化、業務の見える化、製造工程の見える化など)とか、オープンイノベーション(自社だけではなく、多くの社外の人たちを巻き込んで行っていく開発手法)がある。いずれも情報を囲い込んだり分かりにくくするのではなく、分かり易く誰でも見える、取り組める状況に置けば、問題が解決し易くなるという発想だ。
プラットフォーム戦略と言われる、業界全体が乗っかっていけるようなビジネス基盤を提供することで、その基盤を提供する会社の収益も良くなっていくという戦略もある。グーグルなんてその典型で、Gmailやグーグルマップなんか、生活に欠かせないサービスを無料で提供することで、実は莫大な利益をあげている企業もある。奇跡的な再生を果たした日本航空も、稲盛さんが持ち込んだフィロソフィーとアメーバ経営がその鍵になっている。人間として当たり前の「善悪で判断する」という様なことを、高学歴集団の同社に持ち込み、利益を上げることを悪いこととは見なさず、そして収益を個別に見える化していった「だけ」で高収益企業に生まれ変わったのだ。当時(今も)の苦労は、当たり前過ぎて簡単過ぎるフィロソフィーを大人でプライドの高い同社の社員に叩き込むことだったと、稲盛さんも述懐していた。
こうしてみると、どれも見える様にしておけば、当たり前のことを当然出来る様にしておけば、成果は出てくるものだということだ。それは人間の善意や、出来れば進化、向上したいという気持ち(向上心)に依拠していることが分る。駄目な状態が晒されていてば改善したくなるものだし、悪い収益状況が自分が管理出来る範囲内で分っていればこれも改善したくなる。過去の慣習にとらわれずに物事を善悪で判断しなさいと教えられれば、その様に出来るものだ。
人間の善意や良心の力は偉大なものだ。当社でも活動のすべてを社員が共有し、おせっかいの様にお互いがコメントし話し合い、そして数字も明確になっている。そういう仕組みを作るだけで物事は改善され、比較的スムーズに複雑な案件が進捗していく。人間の善意と良心、向上心を信じる経営、これはこれからも継続していきたいと思います。

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