社長ブログ

社長フィロソフィー日記

事業の再定義 (2)

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 この間ユニクロの柳井社長が書いたドラッカー関連本を読んでいて、改めて「事業の再定義」が必要だと思った。

 「あらゆる者が強みによって報酬を手にする。弱みによってではない。最初に問うべきは、我々の強みとは何かである。」(『乱気流時代の経営』)

「自社の強み」は意外と理解されていない。時には自分たちの価値も分からず安売りに走ったり、ずれたポイントを強調したり、分の悪い競争を行ったりしてしまう。顧客から見ると、あの会社はここが良いと思っているのに、それを自覚せずに場合によっては経費削減の大義名分のもと、折角の強みを台無しにしてしまうことすらある。

多分経営戦略とは、自社の持つ潜在的な強みを理解し、戦略によりそれを顕在化させる、簡単に言うと、顧客が評価してくれる自社の強みを理解して、それをお金に転換できる仕組みを作ることではないかと思う。

例えば当社の顧客に白蟻防除業者さんがいる。白蟻防除と言うと、白蟻が出た時に薬剤(殺虫剤)を撒いて駆除してくれるサービスのことだと理解するとその価値の一面しか見ていない事になる。

白蟻防除業の人が薬剤を散布するのは結果としての方法論でしない。その目的は住宅を長持ちさせることにある。住宅を長持ちさせるために、5年毎に住宅の定期点検を行い、施主にアドバイスを行って必要な修繕工事、メンテナンス工事を行なうことがその価値である。そして社会的には、そうやって5年毎に施主を訪問して、「住宅点検を行える立場そのもの」、つまり「家の敷居を跨がせる、施主からの信頼」がその価値であり、その会社の強みである。

 なら白蟻防除業者の経営戦略を考えるなら、潜在化している「施主からの住宅メンテナンスに関する信頼」を活かして、自社を「住宅を長持ちさせる専門家」として事業を再定義することになるだろう。

そうするとスターバックスはコーヒーを売っているのではなくて「快適でくつろげる空間」を販売しているのだし(同じコーヒーはマクドナルドで100円で飲める)、銀行はお金を貸しているのではなくて、経営に役に立つの情報を提供し各企業の内情をよく知っていることが強み、アマゾンは本を売るのが商売の手段だけど抜群の使い勝手、各顧客の購買パターン、好みを収集出来ることが強みである。

自社の強みを正しく理解することが最初の一歩、そしてその強みを活かしてダイナミックに自社の事業を再定義していく、これが経営戦略の本質だと思うが、どうだろうか?

 

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リーダーの仕事

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盛和塾の塾生であるイボキンの高橋社長のビデオを見ていて印象に残ったことがある。高橋社長が祖父の創業した産廃業の会社に帰って来た時に、余りに会社の中が汚い、産業廃棄物が整理もされていない状況を見て、汚いところを綺麗にしようと社員に声をかけた。

 最初は誰も手伝わず、でもひとりずつその掃除の輪に加わってくれた。しかし汚いところを順番に掃除しようと声をかけたら、古手の社員に「どこに綺麗なところがあるんや、全部汚いやないか」と言われたらしい。

その社員も汚いよりは綺麗な会社の方が良いと思っている。でも仕方ないと思って長年我慢していたのだ。

その後この会社はISO14000取得に挑戦する。その事に関して誰も文句を言わないどころか、率先して皆が協力してくれたらしい。「ISOのためだから整理整頓しないといけない」、「ISOだからここを掃除して」、「ISOだから」という言葉が魔法のように、何でもかんでもの理由にされて改善が進んでいった。

ここで大事なことは、社員は、いや人間なら誰でも向上心を持っていると言うことだ。汚いよりは綺麗な方が良い、挨拶はしないよりした方が良い、会社は儲かってないより儲かっている方が良い、お客さんに不満を言われるよりは褒められたい、仕事は詰まらないより楽しい方が良い、ダラダラしているよりピリっと緊張して仕事に当たった方が良い、などなど、「悪いより良い方がいい」と当然思っているものなのだ。

ではどうして現実に良いことばかりでないかと言うと、人間は思っていても行動に表すのに多少のハードルがあるということだけだ。イボキンの例でも、汚いのは誰でも嫌だったけれど、誰も掃除しないから我慢していただけの話だ。ISO取得するような会社で働きたかったけど、誰もISO取得しようと言い出さなかったから実現していなかっただけだ。

そう言えば、先日近所の川の掃除をした。スーパーの袋やらペットボトルなどが中洲や草むらに引っかかって折角綺麗な風景が台無しである。僕はよく川べりをランニングするのでずっと気にはなっていたのだけど、実際に中洲に降りていってゴミを集めて捨てるということは出来ずにいた。それをこの間は一念発起して僕の子供二人、それに近所に住む社員二人に声をかけてゴミ拾いをしたわけだ。やってみるとそんなに難しいことではない。日曜の午前中1時間半ほどで200メートルほどを掃除することが出来た。子供たちは勿論レジャー気分だったし、誘った社員二人も「よくぞ誘ってくれました」という感じ?で楽しんでやってくれたと思う。

要するに誰もが「良いこと」を望んでいるのだけど、実際の行動を移すには多少の思い切りが必要だと言うことだ。それぞれの人の中にある向上心や善意を、少し背中を押して実行に移す手伝いをするのがリーダーの役割であると思う。

そう言えばマラソンもそう。誰もが(言い過ぎか)、生涯一度はフルマラソンを走りたいと思っている。それを実際に声をかけ、参加する大会を決め、ツアーを組んで一緒にやろうぜという機会を与えただけだ。それだけで当社は正社員の半分近くがマラソンを始めることになった。

心の中の「良きことを望む心」を実現する手助けをすること、これがリーダーシップの役割だと思うのだけどどうだろうか。

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