何も要らない。
最近よく言われているライフワークバランス、ウェルビーイングの重視、合理的な人事評価、役職制度、キャリアパスの提示、インセンティブの導入、充実した研修制度など、なんと当社には何もない。見事に全て当てはまらないどころか、将来的に導入する予定もない。
当社は中小企業だからそれも可能だと言う説明もできるが、社員数が60名で売り上げが数十億ある会社なので、同じ位の規模、もしくはより小規模の会社でも、評価制度や人事の仕組み、インセンティブ位は導入しているところが多いのではないかと思う。
別に、へそ曲がりで、世の中で流行っていることに反抗しているわけではない。20年以上前から、すなわち私が経営者を継いでからと言うもの、ずっとそうしてきたし、しないことの合理性、論理的な説明ができるからこそ、上記の制度をあえて何もやって来なかったと言える。
中でも一番違和感を感じるのはウェルビーイング経営だ。都会の一等地に優雅なオフィスと、リラックスできる空間を作って、社員にサボれサボれとメッセージを送っているような気さえする。昼寝室や瞑想部屋を作ったり、果ては卓球台を置いたり、バーを設けたりしている会社すらある。確かに儲かってさえすれば何をしても良いのだけれども、最先端の技術習得にもっとお金をかけたり、お金だけではできない経験を長期的な目線で、その会社に所属しているからこそできる経験の方が社員にとっては貴重な経験となる。会社でいくら昼寝したって成長しない。会社で卓球できる会社を良い会社と思う社員もあまり要らない。まあそういうことだ。綺麗なオフィスも僕は微妙で、社長の見栄が半分ぐらい要因があるのではないかと思う。もし投資するなら、リアルなオフィスではなくて、どこからでもアクセスできる太いネットワークと、クラウド上に情報共有や顧客管理のシステム、リモート会議のシステムを統合したようなVR空間のオフィスを整備する方が良いのではないかと思う。そもそもわざわざ出勤して顔を合わせているのに、黙って作業するぐらいならむしろ出勤せずに好きな場所で一人で集中した方が良いと思う(なので僕はよくスタバで仕事をしている)。自分が好きなところで落ち着いてクラウド上で仕事をして、出勤する際には顔を合わせて、喧々諤々とやれば良いから、基本は自分の席も要らない。昼寝部屋はもっと要らない。
次に、人事評価がなくて役職制度もないことで会社が回るのか?これについてはまた長くなるのでまたの機会に。