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カ(蚊)対策

 蚊は双翅目の中でもカ科およびカ亜科に属する昆虫の総称である。世界で約37属、約2500種が生息しており、日本でもおよそ12属、100種が知られている。ほとんどの種が吸血性であり、マラリア、フィラリア、黄熱、デング熱、脳炎などの危険な伝染病を媒介することもある。しかし、蚊はただ生きるだけなら吸血を必要とせず、砂糖水だけで生き続けることができる。また、蚊の中には非吸血性や、主に冷血動物吸血性であるような人とは関わりのないものもいる。雄の成虫は花の蜜や果実の汁、樹液などを吸って生活しているが、雌だけが人や動物の血を吸い、産卵を行う。雌成虫は、羽化してから、休止→吸血→休止→産卵→再吸血といった活動リズムを持つ。吸血活動は夜間活動性と昼間活動性の2つに大きく分けられる。イエカ属・ヌマカ属・ハマダラカ属は主に夜間吸血性であり、ヤブカ属は主に昼間吸血性と属によって異なる。また、産卵様式も属によって大きく異なり、イエカ属は卵塊(または卵舟)として水面に産卵し、ヤブカ属は水際や湿った落葉、コケなどに分散して産卵する。また、ハマダラカ属の卵は浮き袋が付いており水面に浮かぶ。夏季には、卵は2日ほどで羽化しボウフラ(幼虫)となり、10日もすると成虫になる。ボウフラは尾端に呼吸管を持っているため、ユスリカ幼虫と区別できる。成虫の寿命は普通1ヶ月程度であるが、成虫越冬のものは数ヶ月に及ぶ。イエカ属は成虫越冬、ヤブカ属は卵や幼虫で越冬する。

アカイエカ -Culex pipiens pallens -

最も普通な種で、成虫の体長は約5.5mm。日本のイエカ属の代表的な種類で、寝ている時に蚊で起こされる時は、多くの場合がこの蚊である。灰褐色で胸背部は橙色がかっている。吻には白帯はなく、脚の腿節と脛節の末端にだけ白帯があり、腹の各環節の基部にも白帯がある。日本では北海道から九州まで分布しているが、琉球、奄美、小笠原などでは近縁のネッタイイエカが分布している。幼虫は第8腹節に30~40個の先の丸い側鱗をもっており、呼吸管は比較的細長い。棒を振るように泳ぐのが特徴的。どぶや汚水だめ、用水桶などやや汚いところに発生する。卵は船のような形をしており、卵舟とも呼ばれる。越冬は成虫で行い、寿命も約6ヶ月と非常に長い。本種は、人からもよく吸血するが、鳥類、特に鶏を選好する傾向にある。また、フィラリア症を媒介する。特に、犬のフィラリアをうつすため注意が必要である。

チカイエカ -Culex pipiens molestus -

成虫の体長は約5mmで形態的にアカイエカに非常に似ており、肉眼では区別できない。そのため、卵塊の形で区別し、アカイエカの場合は、舟形で卵塊中の卵数も100~150個である。一方、チカイエカでは卵塊は小さくてゴマ状であり、卵数も50~60個と少ない。日本、ヨーロッパ、中近東、北アメリカに分布している。本種は、1度目の産卵を無吸血で産卵を行なうことができ、血を吸わなくても増えることができる。これは幼虫期に成熟に必要なタンパク質を十分摂取し蓄えるためであり、そのためアカイエカに比べて幼虫期間がやや長い。ビルの地下の水溜りや水洗便所の浄化槽、地下鉄の線路際の溝などに発生する。本種は低温に強く、秋になっても休眠せず初冬でも活動する。冬になっても蚊に刺されるというのは本種が原因である。

コガタアカイエカ(コガタイエカ) -Culex tritaeniorhyncus -

成虫の体長は約4.5mmとアカイエカに比べ小型で黒っぽく、名前のように赤くはない。吻の中央にはっきりとした白帯があるのが特徴的で、雌の小あごひげも末端が白色、脚は腿・脛節の末端と、節各関節部の両側にわたる白帯がある。日本全土や東南アジア、中近東に分布し、日本では特に本州以南に多く分布している。卵塊は細長い舟形で、卵数は約250個と非常に多い。幼虫の呼吸管はアカイエカに比べて細長い。主に水田に生息しているが、灌漑溝や湿地、沼池、城の濠にも発生する。成虫越冬で本州や九州では成虫は4月から出現し、7月~8月に発生のピークをむかえる。夜間吸血性で、吸血飛来は21時頃と午前2時頃が多い。特に牛や豚、馬などの大型動物を好んで吸血し、人をあまり吸血しないようである。本種は、日本脳炎のウイルスを媒介する。また、有機リン剤やピレスロイド系殺虫剤に対して強い抵抗性を示すものもいる。

ヒトスジシマカ -Aedes albopictus -

ヒトスジシマカヤブカ属の中では最も代表的な種。成虫の体長は約4.5mmで黒色に白彩を有する。胸背の中央に白色の1本の縦筋が通っているのが特徴。日本では関東以西に極めて普通に分布し、東洋区、オーストラリア区にも分布している。幼虫は淡褐色で、尾葉が大きく呼吸管は太短い。(泳ぎ方はくねくねしている。)幼虫の生息場所は、花立、用水桶、竹やぶの切り口、空き瓶、空き缶などと様々な所にいる。卵は乾燥に強く、湿った落ち葉やコケなどに分散して産み付けられる。通常、卵越冬するが南九州では一部幼虫越冬も行なう。本種は、デング熱ウイルスの媒介者として有名である。

 

 

トウゴウヤブカ - Aedes togoi -

トウゴウヤブカやや大型種で成虫の体長は約6mm。ヤマトヤブカと酷似するが胸背に縦4本の黄白線があること、小あごひげに白帯があること、後脚に6白帯があることから区別できる。東アジアから日本全土に分布している極めて普通のヤブカである。幼虫は強い耐塩性を備えており、海水の潮溜まりに大発生することもある。また、この他に墓、花立、用水桶などにも発生し、低温にも強く幼虫越冬する。本種は、熱帯に広く分布するフィラリア症の病原バンクロフト糸状虫を媒介し、日本でも南九州や四国などに流行したことがある。また、牛や羊のセタリア糸状虫も媒介する。

 

 

オオクロヤブカ -Armigeres subalbatus-

かなり大型な種で成虫の体長は約7.5mm。名の通り大きくて黒い蚊である。トウゴウやヒトスジとは違うクロヤブカ属に属する。胸背の周縁部は白色で、各腹節の側面や脚の腿節末端にも白斑がある。静止時には吻の末端が湾曲してしまうのが特徴。日本から東洋区にかけて分布している。幼虫は褐色大型で、肥料溜、汲取り便所といった非常に汚いハエの蛆(幼虫)が発生する環境に近い所に発生し、幼虫越冬する。夕刻に活動のピークがあり、特に便所や畜舎に多く見られる。

シナハマダラカ -Anopheles sinensis-

ハマダラカ日本産ハマダラカ属の中でも最も発生量が多い種である。成虫の体長は約5.5mmで、名の通り翅に白黒の「まだら」が散在する。成虫は、静止する時に尾端を上にあげ、斜めに姿勢を保つのが特徴的。雌の下あごひげは吻とほぼ同長で4白帯がある。夜間活動性で人より牛馬などの大型動物を好んで吸血する。吸血後4日ほどで平均200個の卵を産む。ハマダラカ属の幼虫は他の属とは異なり、呼吸管を欠くため水面と平行に浮かぶ。生息水域は比較的清潔で、水田や池沼、城の濠などが代表的な発生源である。成虫で越冬するが、南九州では一部幼虫越冬する。本種は、三日熱マラリアを媒介する。