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ハエ対策

 ハエは双翅目環縫亜目に属する昆虫である。日本では約50科、3000種が知られている。その中には、ハモグリバエやミバエのような農業害虫としてのハエ、鱗翅目の幼虫や蛹に寄生する寄生バエ、人間の生活に侵入してくるハエなど様々である。衛生害虫として扱われるのは、やはり人間の生活に侵入してくる種であり、約100種が衛生害虫に指定されている。これらは家屋内で発生するものや、好んで家屋内に侵入する性質のある種である。1996年には、佐賀県で腸管出血性大腸菌O-157を保菌しているイエバエが確認され問題となった事もある。ハエの雌は一生の間に約500個もの卵を産む。卵は1日程で孵化し、1週間後には蛹となり、2週間後には成虫となる非常に早い繁殖サイクルを備えている。ある昆虫学者によると、1対のイエバエの子孫が、もし死なずに全て増え続けるとしたら、4ヵ月後には191×1018もの個体数になるらしい。実際には様々な環境要因によって多くの個体が死んでいくが、好条件に恵まれた時に起こるハエの大発生の一面がうかがえる計算例である。

イエバエ - Musca domestica -

イエバエ大型なハエの中では代表的な種。英名でもhouse flyと呼ばれるほどである。発生場所の多くが野外であるが、成虫は屋内侵入性があり好んで家屋内に入ってくる。特に初夏と秋に多く見られ、真夏はかえって少なくなる。成虫は体長6~8mm、灰黒色で前胸背に4本の黒色縦線と腹背黄色紋がある。成虫は便池からは発生せず、鶏舎や豚舎の動物糞、牛舎の堆肥、ゴミ処理場のゴミなどからよく発生する。このような場所から発生した成虫が、隣接の人家や飲食店などに侵入し、不快害虫として問題となっている。

 

 

ヒメイエバエ - Fannia canicularis -

イエバエと同様に家内性の代表的な種で、イエバエよりは小形でほっそりしている。成虫は体長4.5~7mm、黒褐色で腹部に黄色の斑紋がある。複眼は赤褐色で、雄ではほとんど接しているが雌では離れている。成虫の出現時期は早く、早春から見られるが気温の上昇とともに個体数は少なくなる。主な発生源は鶏舎であるが、動物の死体や台所のゴミからも発生する。イエバエに比べると、ある程度乾燥した環境に発生する。成虫は家屋侵入性が強く、雄は家屋内外で輪舞する。

センチニクバエ -Boettcherisca peregrina -

ニクバエニクバエ類の中で最も代表的な種。成虫は体長9~11mm、体は灰色で、目は朱色、前胸腺にはっきりした3本の黒い縦線がある。肉によくたかっていたことからこの名がついたと考えられる。また、「センチ」とは便所のことを指し、夏季になると汲取便所の便池に本種の蛆がよく発生する。その他には、畜舎、動物の糞、動物の死体などからも発生する。 ニクバエ類の多くは卵胎生であり、1齢幼虫を幼虫の餌となる動物質に仔産する。幼虫の段階で産むためか、蛆が人体内に寄生するハエ蛆症を起こしやすい。日本全土のほか、東南アジア、西南アジアなどにも広く分布する。

 

 

オオクロバエ -Calliphora lata -

クロバエクロバエ科(Calliphoridae)に属するハエは日本では26属56種が記録されており、クロバエ亜科、オビキンバエ亜科、ツマグロキンバエ亜科の3亜科に分類される。その中でオオクロバエは、クロバエ亜科に属する代表的な種である。成虫は体長10~12mmと大型で、体は丸みをおび青黒色である。また、体全体が薄い灰白色粉で覆われている。クロバエ類は、比較的低温を好み、発生時期は、本州で春と秋に、北海道では夏に、沖縄では2月~3月ごろと気温の高い時期には見られなくなる。幼虫は、動物の死体や糞から発生するが、草食動物の糞は好まない。以前は魚屋の店先などでよく見られ、病原菌を媒介すると言われていた。

 

キンバエ類

キンバエ類は、体色が黄緑色や黄褐色の金属光沢を持っており、ハエに似合わず綺麗な色をしている。人畜の糞や動物の死体、ゴミなどによく集まる。キンバエ類には、体色変異の激しい(黄赤色や青藍色のものもいる)キンバエ Lucilia Caesar、日本全土の市街地のゴミ箱、ゴミ処理場などに極めて多くみられるミドリキンバエ Lucilia illustris 、山地で多く見られるコガネキンバエ Lucilia ampullaceal、日本全土のいたる所に生息し、小児麻痺ウイルスを媒介するため衛生上重要となるヒロズキンバエ Lucilia sericataなどがいる。

ショウジョウバエ類

ショウジョウバエ科(Drosophilidae)に属するハエは、世界に2500種、日本でも240種が知られている。その中でも代表的な種がキイロショウジョウバエ Drosophila melanogasterとクロショウジョウバエ Drosophila virilis である。「ショウジョウ(猩々)」とは中国の伝説上の酒好きな動物のことである。ショウジョウバエ類は、酒類の臭いによく誘引されるため、この名がついた。

キイロショウジョウバエ

体長約2mm、黄褐色で目は赤色。世界中に分布し、日本では特に南日本に多い。雌成虫は羽化後3~4日目で産卵をはじめ、腐った果実や酒粕、ぬか味噌などに産み付ける。半月~1ヶ月の生存期間の間に500個以上の卵を産み、25℃の温度条件下では卵から成虫まで約10日間と非常に速い。このような性質なため、本種は実験用の昆虫として用いられており、遺伝学の分野では大きな貢献を果たしている。

クロショウジョウバエ

体長2.5~3mm、黒色で胸背に3本の不明瞭な灰黒色縦条をもち、腹部背板は光沢がある。生活環はキイロショウジョウバエと似ているが、生息地は北方に多くみられる。本種は、ビール工場や貯木場で異常発生することがあり問題となる。